「PULL」は、さまざまな視点から演劇を考え続ける場です

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澤村正憲より
編集グループメンバーからのごあいさつ
2010年 4月 11日(日曜日) 13:18

 はじめ、断ろうかと思っていました。
 カトリさんに、演劇の情報・批評誌をつくろうと誘われたときのことです。年間450本も芝居を観る人とは距離をおいた方がいい。直感的にそう思ったのでした。
 でも、いい人なんだ、カトリさんは。元横綱・朝青龍のことを「人たらし」といったのは内館牧子さんですが、カトリさんはまさに「人たらし」の才能がある人なのです。
 演劇情報誌の企画は、その後、紙媒体からブログ、ホームページへと話が進み、現在はUSTREAMやYouTubeまでを使った総合的な演劇情報・批評の媒体として機能すべく着々と進行しています。演劇人のクローズアップから、期待されている舞台のさまざまな情報まで、「疾走する演劇情報サイト」として、これからどんどん充実させていくので、ぜひご期待ください。


 現在、PULL編集グループにはわたしを含めて5人のメンバーが在籍しています。皆、個性豊かな人たちばかりで、観る側、演る側、批評する側、みなさん自分の立場と他のメンバーの意見を互いに尊重しつつ、自由に自分のセンスを発揮しています。
 その中で、わたしの役割はというと、それはもうこれしかない。「初心者の気持ちを忘れないこと」です。最初にこの企画へ誘われてときから、このスタンスは変えていないつもりです。
 初心者は、演劇人とか評論家とか、あるいはその関係者と聞くとそれだけで萎縮してしまうときがあります。その気持ち、よくわかるつもりです。
 できるだけわかりやすく、でも大事なニュアンスは失わないように……。舞台の魅力を伝える――――こんなスタイルで頑張っていこうと思っています。

 ほとんどの芝居には、見どころ、楽しみどころとなる“キモ”があります。そのキモを外さなければ、そのうちのいくつかの芝居は楽しめる(あるいは、つまらないと判断できる)ものです。そのキモを見つけられれば、初心者卒業といえるのではないでしょうか。そうでない芝居は、これはなんだったのだろうと、家に持ち帰って考えてみるしかありません。

 話は少々ずれますが、ちょっと面白いかも、という舞台を観たときにその感動をより大切により深く心に刻む方法をご紹介します。
 それは、その同じ公演を2回3回と観ることです。当たり前といえば当たり前のことです。でも、これは他の舞台を観るときにも効果抜群の方法なのです。これを何回か繰り返せば、他の芝居でも1回観たときから、登場人物のほんのひと言の台詞、ちょっとした仕草に俄然リアリティを感じることができるようになるのです。初心者の方、お金と時間に余裕のある方に絶対におすすめの演劇鑑賞入門法です。ただ、本当に自分に引っかかってきた舞台でないとダメですよ。
 わたしは、『唐組』の春と夏の公演は必ず観にいきます。ひと公演につき4、5回は通います。もう10年以上、そんなことをしています。そう、病みつきなのです。なぜならば通えば通っただけ、新しい発見があるからです。
 もちろん、他にも素晴らしい舞台はたくさんあります。わたし自身、さまざまな人にさまざまな舞台の魅力を楽しむ知恵を教えてもらいながら、もっともっと芝居を楽しんでいきたいと思っています。
 わたしは、そんなスタンスでPULLにかかわっていきたいと思っています。

澤村正憲

 
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