「PULL」は、さまざまな視点から演劇を考え続ける場です

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小林タクシーより
編集グループメンバーからのごあいさつ
2010年 4月 11日(日曜日) 15:41

演劇の世界にかかわりを持ちはじめて、今年で14年目になります。


僕は観るのも演るのも好きなのですが、そんな大好きな演劇についてじゃあ自分は一体何がわかっているだろうかと考えると甚だ心もとない気持ちになります。ひとつの公演について理解したり論じたりということについての方法は何となくわかっているし、ネット上にそのお手本となるものも多く見受けられるのだけど、ではそれらの公演が(あるいは団体が・作者が・演じ手が)いまの演劇シーンのなかでどういう位置づけにあって、どういう文脈のなかで捉えられているのか?これをわかりやすく説明してくれるものはぱっと見当たりませんし、あったとしてもなかなか素人には手が出しづらいところに置かれていたりします。僕のPULL参加にあたっての第一目標は、この「演劇シーンの文脈」を何となくでもいいので探し当て、皆さんの目に見えるところに置くこと、と設定しています。いまの演劇の鳥瞰図、そんなものが描ければなとおもっています。


もちろんすべての演劇を関連付けられるとはおもっていませんし、そもそもすべての演劇を見ること自体が不可能です。僕の理解と世の多くがおもうところで違いがあることもおそらくあるでしょう。なので100%完璧な鳥瞰図を書くつもりなど最初からありません。それでも僕が何かを示し、それがPULLのメンバーや読者の皆さんの目に触れ「こういう視点もある」と紹介することには大きな意味があると考えています。


単一の見方などないのです。しかし単一の見方がないからといって、「どんな見方をしてもいい」というわけではないはずです。見方には、いろいろな見方があるだけで、ならばそれらの見方をひとつひとつ紹介していけばよいと思うのです。正解がないことの不安に陥らず、わかった気にならず、またわからないと放り出さず、演劇の世界の複雑さを複雑なままに紹介する。複雑かつわかりやすく紹介する。「どんな見方をしてもいい」というのは一見気楽ですが、反面「どんな見方をしても一緒」というニヒリズムにも繋がっている気がします。


馴れ合いではなく、互いの見解の違いを知ること。違うと知った上で、互いの理解を深めること。小学校のお題目のようなことを言いますが、本当にいま演劇はそこからなのではないかとおもいます。まあ演劇はというか、僕はそこからですね。


劇団というかつての体制フォーマットが崩れ、ユニット公演・プロデュース公演が世の大多数を占めるようになりました。人員の流動化が進んだ結果、うかつに他人との違いを指摘するのが難しくなったことが「みんな仲良し」「めんどくさいことは言わない」という空気を醸成する要因になっているのではないでしょうか。つくり手の側からみてそんなことを思います。またネットの出現によって、観客と演者のあいだの距離が縮まった結果、やはり「うかつなことは言わないほうがいい」という流れが出来てきている気がします。


いずれにしても息苦しいんですね。


PULLでは、ある程度意識的に「抑圧の空気」を読まず、リベラルな突破口を見つけるべくいろいろ挑戦してみようと思っています。自分発の企画第一弾として、小劇場の劇作家・演出家に取材し「ネット上で自分の作品に言及することについてどう思いますか?」という記事をサイト上にまとめてみました。つくり手ひとりひとりの生の声に耳を傾けると、見方のちがいってこんなにあるものなのか!と驚かされます。(この反対・賛成の矢印をつぶさに見ていくだけで、それぞれの作家の小劇場界における立ち位置が見えるし、「仲良し/仲悪い」「●●大学系」等の安直な系統図では見られない正直な図が描ける気がします)お時間ありましたら是非ご一読いただくことをおすすめ致します。

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とまあ、最初はデザインとサイト管理のみということでカトリさんに呼ばれた自分ですが、どっぷりPULLの編集に携わることになりました。メンバーのなかでは若輩者で、知らないことだらけですが、勉強とおもって頑張っていきたいとおもってますので、どうかよろしくお願いいたします!


小林タクシー

 
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