「PULL」は、さまざまな視点から演劇を考え続ける場です

Home 大塩哲史さん(北京蝶々主宰)
演劇人インタビュー / 大塩哲史さん(北京蝶々主宰)
2010年 8月 08日(日曜日) 18:21

大塩哲史さんの作風はJ・オーウェルの「1984」を想像していただければよいと思う。ディストピアの近未来を緻密なディテールを駆使して描く。こんなんなったらやだなという世界が描ける。構成力が精密なだけでなく、落ちにつまって笑いに逃げるというような安直とも無縁なところが頼もしい。


そういう作風に不思議な役者の森田やいい意味で目立つ帯金、岡安など印象に残るメンバーを揃える。 現在の小劇場でわざとらしくないSFを描き、完成度の高さを安心してたのしめるのは北京蝶々大塩哲史を於いてほかにはいないだろう。


丁寧な取材と豊かな想像力によるディテールは登場する「もの」にも及び想定を超える近未来を創出する。そのびっくりもし感心もさせられる新製品は大したものばかりである。前作ではセキュリティとプライバシーというナイーブな問題もとりあげた。


しかしそういう気が利いたSF的作風だけが彼の本領ではない。


「726」に書き下ろした「走れメロス」は誰もが知っている文学作品。それをメロスが登場しないというアイディアで脚色した。苦笑いを浮かべるしかないような教科書定番太宰治作品を、「参りました」。と唸らせる完成度の高い格調あら作品にした。私このメロスの脚本を読んだだけである。行かずに後悔した作品だった。その質の高さには折り紙をつけておく。是非再演してもらいたい。


大塩さんは、私のいうテキスト「を」やる人たちの雄である。物語を大切にし、キチンと書き込む筆力を高く評価したい。
(カトリヒデトシ)

※「演劇人インタビュー / 大塩哲史さん(北京蝶々主宰)」をダウンロードする(mp3,59.9MB)
↑をクリック

 
バナー