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演劇人インタビュー / 田川啓介さん(青年団演出部・水素74%主宰・元堀出者主宰)
2010年 8月 08日(日曜日) 18:34

ちょっとたよりなさげである。
主宰していた劇団は役者たちがどんどん旅立って行き、彼一人になってしまった。中には売れてきた役者もいる。悪い劇団ではなかった。
確かにカリスマとして君臨するというタイプではないし、しっかりちゃっかり赤字をださずに公演をこなすという風にも見受けられない。
しかしかれは極めて質の高い脚本を書くんだなぁ。
今年の劇作家協会新人賞に最終まで残ったものの、審査員の一人に、登場人物の誰にも共感できないし、誰も愛せない。と言われてしまった。
確かに彼の戯曲にでてくる人物は全員が病んでいて、その上自意識が過剰なものばかりである。かなりめんどくさい人々ではある。しかしそこで展開する「物語」は濃厚かつ単なるカリカチュアを越えた情念のうねりがあり、極めて現代的な人間たちのぶつけ合いが描かれ、なんとも現代的な肌触りを持つ。彼作風の最大の特徴であり、最大の見所である。
また若い作家なのに恋愛がでてこない。
みんなが病んで、ドス黒いものを抱えて、それでも困難な世の中で生きていこうとしている人にとって幸せな恋愛なんざ、信じられないのだろう。
その明確な負の世界観は貴重なものであると思う。安直な希望なら、いっそ絶望を。薄っぺらいヒューマニズムなら、いっそ憎しみを。徹底こそが閉塞を打開するのだろう。楽天家が手にするのは多くの場合幻滅であるが、厭世家が手にするのは些細な幸福である。強すぎる自意識を抱えた現代人が匣の底に残った「希望」を手にする瞬間を、いつか書いてもらいたい。
昨年、青年団演出部に入った時に友だちができるか心配したのだが、今や期待の星であるようだ、慶賀である。
田川くんもまた、「を」派の雄。物語至上主義者である。どんどん大きくなっていってもらいたい。
(カトリヒデトシ)

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「飽き」っていうのは、怖い。  田川啓介

50年間連れ添った仲睦まじい老夫婦にもそれが訪れる日が来るかもしれない。どんなに愛し合っていても絶対来ないとは言い切れない。「飽き」は突然やってくる。
「やべえ、なんかもうお前飽きたよ」
「なんで?理由は?」と聞いたところで、そんなものはない。「なんか飽きたんだよねえ」。
長い年月をかけて築き上げられたものも「飽き」によって直ちに破壊される。切り離される。
わたしも何人かの人に「飽き」てしまったし、たくさんの人に「飽き」られてきた。
でも、お陰で狭いところにひきこもらずにすんだ。たくさんの人に会った。悲しい想いもしたけど。
人間には「飽き」る機能って必要なんだよね、たぶん。怖いけど必要。
誰かと長くつきあって「飽き」てもしょうがない。人間に「飽き」なければよし。

 

 
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